□月 ●日  No1640 使えない代物


幻想郷に物資を運ぶ会社 八雲商事 
幻想郷で足らない様々な物資を外の世界で調達、送り込み幻想郷に潜ってしまった技術を
外の世界で売る会社である。 


物資を送る相手は妖怪達。ところがこの妖怪達が危険すぎる。
外見的には可愛いのだろうが、その危険性はニトログリセリン素手で運んでいるくらいの
危なさだ。相手が有効な妖怪でも少々油断すれば弾幕を放ってくる。
空を飛べる妖怪ならいざ知らず、地べたを這いつくばるような我々が避けられるわけがなく
身代わり呪符が切れればそのまま中有の路で回収決定だ。


そこでうちの会社の技術部が、我が儘妖怪たちから身を守る為に傀儡の術をどこからか入手したらしい。
いままでの傀儡の術と違い、割とリスクが少ないという話である。
技術的には既に人形遣いのアリスが多用している枯れた技術で、彼女自身は一度の複数の
傀儡の術を破綻無く起動していることから、ダウンサイジングして社員に応用するのは
どうだろうかという話になっている。


術の概要を聞くと自分を象徴するなにかの物質に魂を移して肉体は魔術による
遠隔操作という話である。そうすれば多少の肉体の損耗でも治せばいいという理屈だ。
ここでちょっとした違和感を感じたので軽く質問する。


その程度のダメージで済む弾幕がどこにあるのかということだ。
だいたい妖精の一撃だって人一人あの世に送るには十分なのだ。
弾幕一発喰らえば即致命傷だし、物質なんかに移しても弾幕で物質ごと
焼き尽くされるのがオチだろう。
今は中有の路で回収すれば良いがその物質とやらが持ち攫われたら目も当てられない。


そんなわけで、このプランはあえなく没である。
この術を使うことで私でも肉体の限界を超えて空を飛べたりするなどメリットはあるらしいが
慣れてもいない奴が空を飛んで撃沈するケースも多々見ているので、丸ごと没にした方が
いいという話になったのは、それはそれである。