八雲商事にいるお陰かどうかは知りませんが最近、異形がやってきても冷静に対処できる
自分がおりまして、それはそれでよろしくないとお叱りを受けました。やはり危険を危険と認識するって
ことは重要なことなのですけどね。
むしろ異形の姿をしているよりも人間の姿をしている奴の方が基本的に危ない気がします。
さらに言えば、こいつらは大体綺麗な外見をしています。大師様もそうなんですけど
自分でデザインできると分かると、可能な限り自分を綺麗に見せようとするものです。
妖怪も人間も変わりません。
先日も悪魔のような外見の怪物に遭遇しました。
黄昏酒場群での話です。
襲ってこないようなので、こちらに敵意がないことを告げましたら
身の上相談されました。 自分に能力が足りないので人間の姿を維持できないようです。
こういう方こそ幻想郷に行くべきだと思うのですが、幻想郷は大変なところだし
生活基盤を捨てて幻想郷に逃げるのは難しいと仰っていました。
一応、人間の姿になって仕事はしているようなのですが、やはりここの便利さに慣れた体で
幻想郷の生活なんて異形の怪物でも嫌だというのはとても分かります。
そうなんです。最近、こうやって幻想郷に行きたがらない妖怪って急増しているんです。
もちろん、生活基盤がなくなった妖怪達が幻想郷にやってくるってことはありますが
大体の妖怪、異形とも顕界で生活基盤を持っています。 持っていなかったらそもそも
ここで活動なんてしていないです。
だから幻想郷にやってくるのはそうした枠組みから外れた奴らすなわち問題児がいっぱいとなります。
そんな噂を聞いたら誰だって幻想郷に行きたがりません。
暴れん坊の妖怪が、幻想郷に行くぐらいなら刑務所に行った方がマシだと言ってたと聞いて
私は悲しくなりました。確かに刑務所なら三食きちんと出るのですよ。
仕方ないので、朝倉に連絡してローコストで変身し続ける方法を教えて貰いました。
ここで分かったのですが、妖怪って結構な割合で、衣服まで変身の対象にしてしまうそうです。
これにはそうしないと、変身後にすっぱだかになって、そのまま露出狂として
警察に御用になってしまうのですね。 そこで、あらかじめ服をスポーツバックに入れて
トイレの中で変身した後、服を着るそうです。
多々良小傘が使っていた手口なので、色々安心とのこと。
深々と礼をされて、この方帰っていかれましたが、気が合うので今度飯でもどうと言っておきました。
明日、食べ放題の店にでも繰り出そうと思います。
