□月 ●日  No2048 茨木のスペルカード


朝倉が久々に悩んだ表情を見せているので、話を聞いてみる。
なんでも、仙人様(現在判断保留中)用スペルカードシステムを作っているのだというのだが
本人の特性を隠して仙人らしいスペックをという謎の要望に色々苦労しているようだ。
そもそも、本人の特性を隠すなんてことは色々な意味で難しいし、無難な構造をとれば
不可能ではないにしても、まともな効果を出すことは困難になるという。


そもそも彼女は仙人に向いていないというのが朝倉の話である。
後にも先にもあのようなタイプの仙人はいないという。
上手くいかないし上手くいくはずもないと言う。


確かにうちの会社にも仙人っぽい人間はいるのだが、個人的に思うことを書き連ねると
仙人になるということは、ある程度老成することを言うと思われる。
故に妖怪が仙人になるのは困難だし、老成なしに法術だけ真似れば邪仙になると思われる。
それには老いに対するある程度の達観が必要となるのだが。


妖怪が仙人みたいになれないのは基本的に、本人が願えば若いままで居られることにある。
永遠に子供、すなわちモラトリアムを続けていれば仙人に近づくのもままならない。
しかし、それ故に仙人はしばしば変人扱いもされる。多くの場合は思考のタガが外れている。
自分自身が自分であるための理論武装も凄いから説得も困難だ。


それでも納品しないといけないのは納品しないといけないので、ひとまず
朝倉 仙人の姿へと変身。 相変わらず酷い。
髪の色はなんとか変貌していて頭の飾りの位置は完璧だが、髪が一部処理仕切れていない。
体型が近いため衣服はそれほど違和感はない。 胸回りのサイズもあまりかわりがないことも
ここで発覚した。 問題は包帯の位置だが、見事に左右反対である。
目の前で、スペルカードを実行して見せた。 
行き成り私を殺す気か。


たいした弾幕はでなかった。


この能力を押さえ込みつつ弾幕を出すというのは色々困難だそうだ。
能力とは何なのかと尋ねたが、それは企業秘密だと答えられた。 皆が知ることで
その能力が強化されたらスペルカードの燃料では押さえ込めないのだという。
本当は自分の本性を理解した上でこういうことはして欲しいというのだが


彼女もまだまだ修行が足りないと言うことなのかも知れない。