□月 ●日  No2050 生き物をロマンで語って欲しくない。


株式会社八雲商事 幻想郷に物資を運ぶというこの会社はここだけで成り立ってはいない。
取引先の協力があってはじめて成り立つ商売でもある。
しかし、そんな八雲商事であっても絶対に与しない連中がいる。
動物愛護団体だ。


幻想郷には野生のトキがいる。動物愛護団体は幻想郷の存在を知るや
自分たちに保護させろと言ってきた。もちろん隙間妖怪は断った。


そもそも生命は絶滅の歴史である。生態系を無視し、特定の生き物だけを
保存しろとと言えば本来ならその周辺の生態系全てを保存しないとならない。
保存できなければ、確実に破綻し、最悪の場合周辺環境を破壊しかねない。


幻想郷をまるで動物の博物館とかタイムカプセルとかと一緒だと思っている人がいる。
実際にはそんなことはない。幻想郷内部であっても絶滅は発生する。
幻想郷内部に奇想天外生物がでも出現するというなら話は別だ。実際には淘汰がある。


幻想郷に過去の生物がいるのは、そういった生物が境界を超えたからではない。
たまたまそこに居合わせた動物がそのまま隔離されただけだ。
はっきり言って八雲商事をもってしても保護動物の隔離までは管轄外だ。
第一輸送している間に衰弱してしまうのが常だ。 
動物を箱に詰めて運べと言うのか。


もちろん環境保全はとても大切なことであり、そのシンボルとしてまたは
指標として特定の生き物を保護するというのならそれは悪くないと思う。
しかし、それはきちんと生態系を理解した上で行われないとならないだろう。
今でこそ安定しているが、隔離しただけでこうも面倒な循環システムを
採用する羽目になった幻想郷の事例を良く知って貰いたいと言いたいところである。