□月 ●日  No2051 体が重いので


八雲商事と言えば、幻想郷に物資を運ぶ会社であるが、たまに変な任務を仰せ使う場合がありまして
それが超大型妖怪の輸送だったりする。超大型と言っても列車のコンテナに乗るくらいだから
そこまで大きくないのではと言いたいところなのだが色々と面倒だったりする。


幻想郷に行きたいが体が動かないという妖怪は意外と多い。
動かないのではなく特性上動けないタイプである。
たとえば建造物型妖怪では、移築作業というかたちになる。 隙間で移動すればいいじゃないかと
言いたいのは分かるがぶっちゃけ隙間妖怪だって暇じゃないし、第一目立つような隙間構築をしたら
幻想郷の存在が容易に発覚するって物で、結局我々にお鉢が回るという次第。


大型妖怪は概ね眠らせてから移動と言いたいところだが、最近では移動中に衰弱する可能性があるというので
このへんに居てくださいとあらかじめ注意してクレーンで輸送して載せるケースもある。
実は大型妖怪は常に宙に浮いている場合も多い。これも当然で自重で組織が壊死してしまうケースがある
からである。この場合は壁をきちんと作って移動すると壁に寄りかかって移動できるようにしている。
中には宙づりにして移動する場合もある。


そんな妖怪達の最新流行が、ずばり重機に変化することである。つまり工業重機に変形することで
体重を安定して支えることができるほかおおっぴらな移動ができ、さらに自動車に乗ることも出来るというので
大人気である。 やっぱり彼らだって移動するのは相当のコストが掛かるのだ。
変身した方が楽ってものである。


残念なことに質量を変形できるわけではないからトラックにのる重機と言うことになるのだが
それでも結構容易に移動できるとあって巷で大人気になっているというわけだ。


問題は幻想郷に到着したとき、重機から戻ろうとしないせいでそのまま幻想郷で重機型妖怪として
どうしようもないパターンに陥る事なのだが、土木工事に従事して、あの巨大な核融合施設を
作るときに大活躍したのだからまあよしってことでいいのだろうか。


たぶんね。