□月 ●日  No2055 メンテナンス場所


幻想郷に覗きのスポットがあるという。そこでは娘が夜な夜な水浴びをしているのだそうで
現地の男から言われたことだが、もし妖怪だったらどうするのだろうという疑問を抱きつつも、
興味半分に行ったのだが遙か斜め上の光景が見られたのでとりあえず認めておく。


確かにここで娘が水浴びをしていたのは間違いない。
もっとも水浴びをしていたのはゾンビである。これも少々正しくないかもしれない。
そもそもここが何も混じりけなしのH2Oなら多分問題はない。


漂う異臭を検知した機械がバイブレーションで警告を表示している。
八雲商事の端末に最近搭載された臭気センサーで、要は地底からわき上がる
有毒ガスを検知する代物だ。もっともたいしたことがなくても警告メッセージを
出すので些か困った代物である。


どうだすごいだろうという野郎を無理矢理引っ張り、とりあえずここから離れることに
自分の中で決定する。 ここはキョンシーのメンテナンス場所だ。
体を洗っているのはゾンビであって生娘ではない。

男の方向に目をやると今まさにキョンシーが全裸で襲いかかるところであった。
相手がキョンシーじゃなければ役得である。
そのまま男の目の前で静止する。いや口に何かを咥えている。


ゾンビ製造元が拍手をしながらやってきた。
なんでも生きている者を狙っている生きの良い地縛霊がここには結構いるらしい。
生きの良い地縛霊はキョンシーにとっても強力なエネルギー源となるのだとか。
素直に成仏させろよと思うのだが、ここにいる地縛霊は人間を散々殺しているから
どうせ成仏させても碌な事にならないという。


ちなみに。
「ゾンビの裸なら幾らだって見せるぞほれほれ。」 と言われましたが
私はどちらかというと生きている人の方がいい。と言ったら無言でどつかれたことだけ
報告致します。