□月 ●日  No2056 自爆行為


どうも放蕩妖怪が冴月に喧嘩を売ったらしい。
元々好戦的な妖怪同士なのだが、冴月が放蕩妖怪がほしがる力の
メインコアだと知ったら何と答えるのか。それはどうでも良いことかもしれない。


結論から言えば力押しを繰り返す妖怪に冴月が負けるわけがない。
そもそも彼女の戦闘スタイルは弾幕戦に適さない。卑怯そのものだからだ。


本人は力が欲しいから叶えてやったと本人は云うが、それは酷い行為だ。
そもそもスペルカードそのものが能力の安定供給とバックファイア防止のためであり
冴月がちょっとでも制御レベルを落とすだけで容易に暴走する代物である。


それでも何とかなったのは、朝倉達の開発した急造のスペルカードが
なんとか機能した為であって、もしもカードの力で能力を制御しなければ
最悪の結果が招かれることになるのである。


結論から言えば冴月は弾幕を放たなかった。
ただ、彼女の望むがままに力を与えたというわけだ。
結果的にカードが持つ防御機能が破られて大自爆に至った。
もともと彼女の弾幕は、自分の周辺にも弾幕を張る所謂「ハリネズミ型」と
云われる仕組みを採用していたからだ。
それが自分に襲いかかれば概ね制御不能である。


さて、今回この話を知ることになったのは怪我をした放蕩妖怪を収容したからである。
最初は一体何が起こったのか、とてつもない怪異が現れたのかと本気で焦った。
考えられそうな危険人物にそこはかとなく聞いてみたが、無反応だったので
まさかと思ったら、そういうことだったという次第。


割りと元気だったのかすぐに意識は回復したが、
月人の知り合いが居なかったらそのまま中有の道にこいつを探さないと
いけなかったことを考えれば上々と云わざるを得ない。


ちなみに犯人を知った地霊殿の主人は、冴月が大の苦手と述べていることを
記しておく、一歩間違えると恐慌状態になるらしい。