□月 ●日  No2092 怨霊も大変なのですよ


幻想郷において汚染はかなり頭の痛い問題である。基本的に汚染の対策を自然で行うには希釈するとか
生分解するとかその辺が中心で、面積面で制限がある幻想郷だと何も考えないで生活するとあっという間に
土壌汚染などが起こって、住民が中毒症状を患うのもしばしばだ。


しかし、幻想郷には幾つかの切り札がある。
今回はそんな切り札の紹介。 死体運び猫の話の続きとなる。


それは怨霊と呼ばれた霊魂だ。そもそも、神霊廟に出現した霊魂とかと
殆ど性質は変わらない。怨霊の場合比較的情報量が多く、記憶の堆積率が高いという
特性があるが、この怨霊達には大切な機能がある。
それは地底の重金属を一定量集め、一つの個体にするということだ。
水などに溶け込む前に怨霊が物質を集めて個体にするのである。


重金属汚染が起こりやすいとされる幻想郷の土壌において、妖怪や人間達が
安全に生活できるのはひとえに怨霊のお陰と言ってよい。
幻想の世界にある汚染除去システムというのが怨霊の正体である。


そういえば仙人様(現在評価不確定)は本来、地底の怨霊達が地上に出るのは好ましくないと思っている
ようだがどうも理由を理解しているのか疑問に思うことがある。
ただ、怨霊が幻想郷に出ると必須となるような重金属まで除去対象になるという現象は聞いたことがある。
故に怨霊は地下にとどめておくのが正しいのだ。


怨霊がかき集める物質目当てで怨霊を破壊して回る妖怪が居る場合、一応そういう行為を取り締まる妖怪も
存在している。この手の妖怪は概ね不定形と言われており、地底に行くと穢れると言われる理由である。
取り締まっている輩に死体運び猫を通じて話を聞くと、最近は暴れん坊が多くて自分が退散する羽目に
なるケースも多いのだとか。


尋ねたら自称現人神一味だったことがわかって色々ともにょる次第である。
本当に申し訳ない。