□月 ●日  No2194 メリーたちが見せられた疑似スペルカードシステム研修ビデオ(抜粋)


スペルカードとは魔術のパッケージングのことです。 
魔術はそのシチュエーション、術者の体調、使用するマジックアイテムの品質などにより実行結果が安定しない特性があります。
マジックアイテムの品質については現在加工技術の向上により安定化傾向にありますが、魔術を使用する状況などは
改善困難です。 たとえば、魔術を完全に再現したい場合は当時の太陽活動状態の再現が必要です。 
近代魔術が生まれた時期と重なる1645年から1715年に起こったマウンダー極小期においては、当然その環境の再現などが
必要と考えられています。この魔術の状況再現は、事故防止の観点でとても重要な要素と言えるでしょう。


八雲商事で利用される疑似スペルカードは、幻想郷で用いられるスペルカードとはいくつかの点で違います。
一つは放出可能な弾幕容量 こちらは最小限の設定になっております。
スペルカードエンジンのカーネル部分は、いわゆる業務端末と一体になっております。スペルカードエンジンも基本的には
手続き型プログラム言語であり、出力先を変更することで、コンピュータを動かすことも可能だからです。
OSのサイズとしては、モバイル用途として利用するには巨大ですが、この辺の問題はハードウェアが
解決したと言えます。


疑似スペルカードでは通常のスペルカードでは利用が制限される大型物体の転送が可能です。
大型物体の転送については命蓮寺に住む妖怪たちが、霊能局からの技術供与の元可能としていますが、これは
機能制限によるバグ発生を恐れたからと考えて間違いはありません。
つまり彼らの能力ではカスタマイズに限界があったからです。 一方で、先の命蓮寺地下より発掘された仙人については
同様のOSを用いながらも大型物体の転送には対応していない比較的枯れたシステムを採用しています。


疑似スペルカードは使用制限にしばりがありません。
バッテリーが持つ限りは何度も利用可能です。しかし、使用は無料ではありませんから、バッテリー容量による
使用制限と、バッテリー交換時に起こるOSの再起動問題はどうしようもない点をご理解ください。
無停電電源化も検討されたことがありますが、こちらを実現するには大型の鉛蓄電池の利用が必要なため
流れたことも付記しておきます。


八雲商事で利用されるスペルカードシステムは安全性安定性静穏性を重視しており、より合理的な業務運用を可能にします、
ご清聴ありがとうございました。