□月 ●日  No2195 コストカット


八雲商事にあってもコストはとても気にする。妖怪相手の商売であるが利益は稼がないとそこにいる従業員は食っていけないからだ。
この点、伊達や酔狂で仕事をしているのと大きく違う。
その中ではコストカットも重要な要素として含まれる。たとえば列車については最小の改造で最大の効果が挙げられるように
機器運用がなされている。 


しかし、顕界の企業といくつかの点で違いもある。それは経済的合理性を徹底追及することのリスクである。
経済的合理性を徹底的に追及するとシステムが崩壊するということは、八雲商事が生まれる前から知られている事実なのだという。
面白いのはこの辺の意見を三馬鹿も唱えていることだ。さすが彼らは為政者である。
彼らは要不要を無視してコストカットを行うことで自分の存在意義を示すのだという。面倒な存在だ。


しかし安全に関するコストというのは徹底すれば、どうしてもコストは二字曲線的に上がるという。
スペルカードシステムもそうだ。実のところなんだかんだ言ってコストが下がるように作られているが
安全性が若干スポイルされる結果となる。


故に八雲商事は禁じ手を用いている。それが中有の道の利用である。
実は中有の道を利用しても事故は起こることが知られているため利用しつづけるのはリスクがあるのだが
少なくてもこれが八雲商事事故率を大幅に引き下げている。


重要なことは会社の存続である。意外とこの辺の思想はどの立場の妖怪たちに尋ねても
みな同様の答えが返ってくる。 年の功なのだろうか。