□月 ●日  No2280 幹事


八雲商事の忘年会。今年も幹事をだれにするか決める時が来た。
八雲商事の幹事の決め方は全員公平なくじである。"当然"誰もやりたがらない。
そりゃそうだ、まず会場を貸してくれるところがない。
借りても多くの場合は出入り禁止になるとか、呑み放題の制限が加わるとかのどれかになる。
浅間伊佐美の飲みっぷりが特に際立つが、実のところ幻想郷出身は結構な酒豪が多い。
こんなところに絡まれたら碌なことにならないというのが店の言い分である。


更に言うと八雲商事の規定で幻想郷内部で忘年会をやることが禁止されている。
特定妖怪が接待を始めてしまうとか、暗殺を狙ってくるとか、色々あったのだらしい。
もちろん返り討ちにしているから今の八雲商事があるのだろうが、おおむねオーバーキルになってしまい
周囲に被害が及ぶのだとか。迷惑だけどさもありなん。


幹事きめの話に戻す。魔術が最高にかけられたオープンソースの魔術を目の前で
かけていざスタート。そして最大の偶然がやってきた。
通常このくじを最初にひくのはボスである。
そういう決まりになっているからである。 彼女がいつものように
紐を引っ張っぱり、 表情が明らかに曇った。
それはあたりを示す赤い表示。


ボス幹事決定。


ボスが一体どんな店を選択するのか皆の注目が集まる中
ボスは静かにこういった。 自宅でホームパーティ と。
周囲からブーイング、食い物はどうなったという連中たち。
しかし彼らは知らない、ボスの家のホームパーティの方がはるかに豪華であることを。
私はというと会費がどうなるかが心配だった。


実際には普通の額で済んで安心だったわけだが。


ボスのホームパーティは政治家とか要人たちを呼ぶように作られている
豪勢な代物である。今から本当にわくわくしている。
お酒が呑めなくてもおいしいものが食えることを知っている古参勢は
喜んでいる。