□月 ●日  No2355 フィラデルフィアプロジェクト


幻想郷に行くためのシステム。
現行システムを構築したのは岡崎夢美であるが、このシステムの素晴らしいところは失敗しても
単なる列車事故扱いとなり、ほとんど被害がないことにある。
岡崎が見出した可能性空間移動船の仕組みが本人ごと買い取られるのは至極当然のことであった。


さて、幻想郷に行くためのシステムを開発しようとする動きはどこでもやっていたと言える。
たとえば戦時中は米帝が当時中立を貫く幻想郷へ行くためのシステムを開発していたことが
知られているが、結果は燦燦たるものだった。
実はこれ、最初はレーダーから消えるための実験をやっていたのが、偶然にも幻想郷に
たどり着いてしまったというものである。


中にいる人間は死屍累々。転送に失敗してあるものは壁の中に埋まっているし、構造体も
ぐちゃぐちゃだったと言われる。船の外見だけはなんとか保っているものの
幻想郷にたどり着いた妖怪たちにとっては違う意味での異変だった。
結局当時の博麗の巫女がこの船をそのまま送還することでまとめることになる。
しかしどこから転送されたかわからないので、適当なところに送り返したところ、
事故現場から2500キロメートル離れたところに送り返してしまい
周囲には転送されたと思われることになった。


生き残った乗組員は悉く発狂したと言う。
この辺も当然だ。精神に異常をきたしたものも居るがそれ以前に妖怪たちが
彼らを保護したため皆が恐慌状態になったのだ。
この辺から姿を何とかしろよという風潮が広がることになる。


この案件、米帝には瞬間移動事故として捉えられていたが
応用で幻想郷に行けると判明した時、米帝の関係者を躊躇わせるには十分であった。
このことが幻想郷を救ったと言っても過言ではないが
実態はこんな感じである。せめて博麗の巫女が元の場所に戻す際に
海のイメージがつかめていたらこういうことにはならなかったのにと思う次第である。