□月 ●日  No2409 八雲商事の珍兵器


開発名まじかるさくやちゃんスター(原文ママ)は火力不足の十六夜咲夜
異変解決のために紅魔館と八雲商事のコラボレーションによって開発された
ポーダル型陰陽玉である。
開発主任は霊能局の在籍する櫻崎比良乃が装備する同じくポーダル型陰陽玉の
開発者を迎え、理想的な戦闘能力を持つ陰陽玉を目的に造られている。


ここでポーダル型と呼ばれる陰陽玉の構造について説明しないといけない。
ポーダル型とは物質を論理情報化することで無限大に弾丸を発射する機能を持つ代物である。
スペルカードも一種のポーダルということもできるだろう。


そもそも十六夜咲夜がばら撒くナイフは自前で回収しないといけないと言う
間抜けな問題を孕んでいる。一度投げたら自分で回収することで
あたかもたくさんのナイフを扱っているように見せることができるが、
用意できるナイフの数は時間停止できる時間に比例するため当人の負荷が
無駄に増えるなどの問題があった。



またナイフは相手を切り裂くと数回で利用不能になってしまう。
ループ回数の最大は5回程度でそれ以上はメンテにかけるか廃棄するしかない。
相手が一人で当たらないことを前提にしたスペルカードのナイフと違い
当てることを前提にしたナイフの利用はナイフ自体の消耗を加速する。
もちろん魔術で破損率を減らしてのことなのだが、それでもナイフの所持量には
限界があった。
紅霧異変において十六夜咲夜が長時間戦闘できない問題は既に指摘されており
異変解決後に挙がった技術的議題は数十に及んだ。


そこで持ち上がったのがナイフの論理化と呼ばれるもの。
つまりは回収不要のナイフを用意しばら撒くということである。
そこでナイフを論理構成し、何度も投げても問題がないナイフ発生装置が作られることになった。
スペルカード技術の応用である論理ナイフである。
物理特性を持たないナイフであり、投げる瞬間はナイフのような触り心地があるが
実態は一種の魔術ミサイルである。
このナイフはかなり量産に余裕があったため、技術陣は待望だった扇形の
弾幕掃射を機能として搭載した。まさに最強の陰陽玉と言える存在だったと言える。


さて、このまじかるさくやちゃんスター(原文ママ)だが当人しか扱えない
セキュリティが備わっている。結局時間を止めて燃料補給しないとまともに動かないのだ。
おまけに燃費の悪さを威力減で補うという頭の悪い設計が炸裂し、
永夜異変で小型化された2号機の完成でお役御免になった。


余談だが、二号機の初期型ではプロテクターを兼ねて胸に装着していた関係上、パッドと言われてしまったのは
想定外のトラブルだったと言えるだろう。