□月 ●日  No3046 純白の魔術師


 これを襲撃というのかどうかは分からないが、恐ろしい相手と遭遇した。
 明らかに雷子の様子を見るためにやってきたと思われるその女は白衣に包まれており
 周辺から浮いて見える。いや、この白衣は普通の白衣ではない。ほぼ全身を覆うことができるところを
 みるに光学迷彩用の衣服なのだろう。

 
 そしてこの女は恐ろしい術者でもある。そもそも妖怪を検知するために使用している
 レーダーが完全に振りきれて、その後使い物にならなくなった。
 今回は挨拶程度だというのだが、それは次はないという意味でもある。
 それにしても、一般の魔術師でもここまで高出力を扱える者はそれなりに
 有名なはずだ。


 前の職場の人間に聞いた。
 目の前でケーキを食べてるって言われた。
 目の前が真っ暗になった。
 どうやらこの女が、噂の朝倉理香子だというのである。


 名前は聞いたことがある。コスプレ魔という珍妙な魔術を駆使するワイルドカードみたいな
 存在だと。 
 前職場まで抑えられているとなると、切り札もかなり使えないだろう。
 ここにきて前途多難である。
 

 それより雷子だ。この日以来白い服を着るようになった。
 たしかにそれがあれば精神的に優位に立てるのは間違いないのだろうが
 肖ってもらっても困る。