□月 ●日  No3047 食べる


 節分の風景
 鬼は外福は内と唱えながら豆を撒く
 おもむろに回収する。
 粉にして弾薬に装填する。


 こうした福豆はそれなりに高い威力になることが知られている。
 鬼を退治するという意味を与えられた福豆はそれ相応の力を帯びるらしく、
 一般の人でもそういう退魔の力を持っているひとの家を掃除するふりして
 福豆を手に入れるというなんともシュールな展開がそこかしこで起こっていると言われる。


 雷子がまた、謎の衣装に身を包んでおり頭がいたい。
 今度は妖怪の力ではなく近所のあまり治安がよろしくない雑貨店で
 買ってきたという。こんなところで金の無駄遣いをするなと言いたくなるが
 考えてみると彼女は基本食費がかからないのだ。


 それにしても、彼女の姿を安定させるなら一応食事はさせたほうがいいらしい。
 それをアドバイスすると「便所飯」になるから嫌だと言われた。
 実は消化器官を維持するコストというものがあり、消化器官をフル活用できれば
 食事のほうがかなりエネルギー効率がいいのだが、大体はそのようなコストも
 払いたくない者が多いらしく、消化器官が動かないとまるで下剤を入れたような
 状態になるのだとか。


 そういえばサッキュバスとかが人間の精をと言っていたのは単に消化器官を維持する
 エネルギーも外見に回しているからと聞いて妙に納得した覚えがある。
 彼女もまたそうした工夫をしながら生きていたのだと思うと感心する。