☆月 ■日 No 133 阿礼乙女に関すること


すべての事象は、観察者によって大きく変わる。
阿礼乙女のレポートもまた例外ではない。 
困ったことに幻想郷の情報や種族に関する情報は正確ではあるものの人物に関しては非常に偏った見方をしている。 
我々は幸い彼女のレポートに掲載されることはない。 我々は建前上とはいえ外の人間としてカウントされるからだ。
特に自分が気に入らない相手やコミュニケーションが取れない相手に対してはやりたい放題である。
ブレザー兎については本当に取材したのかすら怪しい。詐欺師兎についてはむしろ好意的な表現すら見て取れる。 
社内でもこの見解にはそんな馬鹿なと言っている。
歴史や記録とはそもそもそんなものであるから、我々は彼女の仕事に対しては口を出さないし、よほどのことがない限り
干渉することも無いだろう。
それでも、添削をしないといけない場面もある。 しかし彼女もさるもの注釈とかで微妙な仄めかしを駆使するから侮れない。
彼女の考え方の偏りも自分たちの仕事によるものだと思うとそれはそれで感慨深い。


ボスから私に彼女と接するときに注意すべきこととして、紳士的に接することを厳命されている。
彼女は都合の悪いことまで忘れることができないのだ。 忘れるとき それは彼女の魂が肉体を離れ光陰に移るときに
不可避な劣化現象だけである。
さて、阿礼乙女が幻想郷にいるとき人手不足となる閻魔様の書記の仕事 この穴をどこで埋めるのか? 
それは私だったり私の会社の職員が受け持っているらしい。朝倉も冴月もあんな仕事は嫌だというが私も嫌である。
実は、うちの会社にデューダ(死語)する前の魂魄もそこで働かされていたらしい。 阿礼乙女のせいでけっこううちの会社の
面子は泣かされているのである。