■月 ●日 No 135 朝倉理香子は有名人である


藤原妹紅は炎のスペルカードを使用する。
このスペルカードは業火という言霊が表すとおりきわめてリスキーな代物である。 
自爆の可能性が常に付きまとうのだ。 不死身の彼女だからこそ取り扱うことができるカードともいえる。
彼女のスペルカード射検は朝倉がやっている。 朝倉は妹紅の使うスペルカードを自分のカードのように行使してみせる。
あまりにさりげなく使うので、こんなものかと思ったが実は半端ではない能力の持ち主ではないだろうか。
「まあ、使うだけだから実戦で使うのとは意味が違う」というのは朝倉の弁である。


久々に魔法の森に行ったら、珍しくノーレッジ氏に出くわした。 喘息もちがよくここまで来れたものだと思ったら
傍らにアリスを見つけたので、彼女を足に使ったのだと推測する。 
ところがこの二人がいつもと様子が違う。 
キノコの瘴気に当てられたのかとも考えたがいきなり肩を掴まれ前後に揺さぶられた。 
どうやらうちの会社に所属している人間に幻想郷最強の魔法使いがいるのだとか。
そこで、朝倉が妹紅のカードを平然と使っていたことを思い出し、そのことを話すとノーレッジ氏はその人で間違いないと言う。
朝倉が有名人だということは知っていたが、かなりの大物だったんだと感じ入る。
彼女たちは一度でいいから師事を受けたいという。 
アリスは黒い魔法使いに自慢するため、ノーレッジ氏は単に研究のためだろう。


朝倉にそのことを話したらやんわりと断ってきた。 煙草をふかしながら「私は科学に魂を売ったんだ」という。
そういえば、朝倉は初めて岡崎に会ってから外の世界に居座り殆ど、幻想郷に足を踏み入れていないことを思い出した。
列車にも乗ろうとしないし、隙間妖怪を避けている。 もっと避けているのは白玉楼のお嬢様だ。
もしかすると彼女にもどうしようもできない事情があるのだろう。


あとで魔法使い二人に謝ったが、「あなた程度の人間が大魔法使いを呼んでくるとは思えないからいい。」と言われ
クレームにならなくてよかったと思う次第。 腹が立たないかと言われたら立つのだが、それより何よりクレームが怖いのが
商売人の宿命である。