◎月 □日  No 138 中有の道で仕事


中有の道 人が死んだあとに最初に通る道である。
と言っても、厳かな雰囲気も暗い雰囲気も殆どない。
あるのは屋台と人々の喧騒である。
うちの会社もここでいい商売をさせてもらっている。
ここで商売する人たちは我々の会社から仕入れを行っているからだ。 


さて、ここで商売をしている人たちは、実は地獄を抜け出すための検定試験を受けている者である。
彼らの一挙一動が監視されるわけではないのだが、その仕入れの状況や代金の支払いに関して
我々は、閻魔様に報告の義務がある。
そしてこれこそが彼らの不正をチェックするもっとも有効な手立てとなっている。
インチキをする人たちは独特の仕入れパターンがあるのだ。


富くじを例にすると、最初の段階でやたら豪華な景品を用意しているが
その景品が動かない場合は怪しい。また極端に低品質なものを仕入れる者も要注意である。 
これでかなりの亡者たちが振り落とされるのである。


地獄へ舞い戻る者の店は、まるで夜逃げのような状態となる。
それをうちの会社の職員が綺麗にして、また次の亡者がそこで商売を始める。
まるでバッタ屋のような有様だが、屋台というものは得てしてそんなものである。