□月 ▼日  No249 ドロワ


営業時間が過ぎて会社に戻ったら、部署は明るいのに妙に静かである。
ボスの席に近づいて様子を伺うとボスが珍しく針仕事をしていた。
ボスに裁縫の趣味があったことが意外だが、なにか一生懸命フリルを
つけているようにも見える。
何を作っているのですかと聞いたら 一言


「ドロワ」


と答えた。ドロワって手作りだったのか。
「前のものが燃えたからな」
とぼやいていたようにも聞こえたが何のことかはいまひとつわからない。
聞いたところで怒らせるのも何なのでそのまま帰社してしまった。