□月 ○日  No250 バイオハザードin幻想郷


幻想郷に持っていってはいけないものは意外と多い。
特に生体は気を使う。 
幻想郷はいわゆる論理結界ではあるのだが特定地域を切り出したため
生態系が意外と狭い中で完結している。 
たとえばブラックバスなど、結界の外でも問題となっている外来種
幻想郷では致命傷になってしまうのだ。


問題は事故で取り込んでしまった生き物である。
魚が路上でぴちぴち蠢いているのならまだいいのだが
先日やってきたのは毒クモである。それをうちの職員総出で探すことになった。
中間管理職狐からクモが出現する予想地域を割り出してもらい、
市販のクモ用殺虫剤を片手にただひたすら匍匐前進。 
鴉天狗がその模様をパシャパシャ撮っても匍匐前進する。


横を見ると冴月がホバリングしながら匍匐前進していた。
ふと目があって、暫く見つめあったあと、冴月がはっとした表情でこう言った。
「しまった、あなた空飛べないんだった」

考えて見れば毒クモのいるところで匍匐前進なんかしていたら刺されてしまうわけで
ちょっと考えればすぐに判ることだったのだが、
仕事から解放されて嬉しい反面、自分が妖怪にしか見られていない事実にちょっと泣けてきた。