◎月 ★日  No260 魂魄と棺桶

米帝から緊急要請が入った。
自分の国の2機のアームスーツこと棺桶が神隠しにあったという。
その地域は以前から結界が不安定で霊能局が警告していたところだった。
通常外の世界からきた人間は捕食される運命にある。
棺桶と呼ばれる所以は簡単、アームスーツがあったところで妖怪たちの
弾幕なんかは防げないからだ。
通常ならそのまま妖怪の餌にするのが筋だが、米帝に恩を売っておいて
損はないということになった。


現地にいるのは里香女史と私。他の面子は移動中らしい。
発見した時にはもう既に妖怪たちと交戦中だった。
棺桶は早くも負けそうである。 
幸い妖怪たちはまるでじゃれているかのように棺桶を翻弄していた。
一瞬の隙を突き巨大なマニピュレーターを持つ里香女史の戦車が棺桶を後ろから捕獲、
一気に戦闘区域から脱出させた。
残った棺桶が里香女史のもとへ向かう。 これが目当てである。
あとは、私が妖怪たちに食べ物を渡して任務は完了のはずだった。


なんと里香女史の戦車が棺桶の攻撃で被弾してしまった。
そう簡単にやられるわけではないから問題にならないが、
中の里香女史が切れたら元の木阿弥である。
このままでは棺桶が危険だと思ったその時、追っていた棺桶の動きが急におかしくなり
武装を解除してしまった。何時の間に戦車の傍らに立っていた魂魄の仕業だった。
「半霊とはこういう風にも使えます。」という魂魄は、棺桶の中身に憑依してコントロールして
しまったらしい。 
なるほど随分器用なことができるものである。