○月 ▲日  No265 割り切ること


プリズムリバー家の引渡しが完了するというので、朝倉がドレスと白衣という面妖な姿で
幻想郷に行ってしまった。 なんか見ちゃいけないものを見た気がする。


私はというと、会社を辞めたいという同僚の相談を受けていた。
世の中に不満があるなら自分を変えない限りどこに行っても変わらないものだ。
確かに我々の世界に住む人間が妖怪のエサになっているという事実は耐え難いものである。
世の中の不条理を相手にしている点ではヤクザや法律屋に近いのではないだろうか。


ただ、まったく無関心でいろというわけではない。
不条理が眼前で進行しているなら自分の出来る範囲で行動すればよい。
この自分の範囲を逸脱する行為をすれば逆に自分が破滅することになるだろう。
私は結界の外から来た人間を助けることは難しいが、妖怪が人間を食べる必然性は
減らすことができると考えている。


結局、その同僚は会社を辞めずに残ることを決めたようだ。
相談を受けたことについてはしばらく上には黙っていようと思う。