○月 ●日  No266 紅魔館の図書館


ノーレッジ氏の図書館には大量の本が貯蔵されている。
その本を魔界から出向したデーモンや妖精たちがせっせと整理し続けている。
いうなれば情報の墓場のようなところだ。
電子化が進んでいるとはいえ、ペーパーメディアの利便性は未だ健在である。


これらの本はどうやって蒐集されているのかはわりと単純らしい。
返本されたり廃棄されたりする前に拝借してしまうのだ。 
そんなわけで常にコンテナ数個分の本が毎度紅魔館に運ばれている。
納品は紅魔館の門番にすればいい。
転送装置を通じて直接送られる仕組みとなっている。
だから司書たちは息つく暇がないそうだ。


我々がここの図書館を利用するときはかなり使用料を払っている。
紅魔館が発注する食べ物類の金額はそれで殆ど相殺されるほどだ。
本の代金も利用料で相殺となっている。
なにせ国会図書館よりも蔵書は多いし、焚書された本も残っている。
これらの情報はデジタルの海よりもはるかに広大でしかも深い。
ネットの情報など専門色が強くなると途端に情報量が減る。 
こうした情報はうちの会社の隠れた財源となっている。利用料など情報という
財産の前には誤差範囲なのである。