○月 ▲日  No267 基地移転


妖怪の山の基地移転が完了してお披露目会。 式典にはボスや玄爺などが出て
かなり華やかな雰囲気である。
中は新品でぴかぴかだが、パレットの類は昔のままなので妙に浮いている。
特に大きな変更は検品が機械化されたことだ。これは結界インフレーションが
単なる結界の再生性だけではなく、規模までもが大きくなることを意味する。
規模が大きくなれば商品の物量も増えるので人間の力でチェックするだけでは
限界が近づいているのだ。
規模が大きくなればそれだけ結界は脆くなるわけだが、それに対する具体的な答えは
まだ出されていない。


玄爺が私に興味深い話をした。うちの会社の実態はPMCだというのだ。
プライベートミリタリーカンパニーの略称で兵站や訓練や要人警護を専門に行う企業である。
では我々が支援する団体とは何なのか? それは間違いなく妖怪たちである。
中東などの紛争地域で邦人が殺されるときは概ねPMCがらみと言われる。
つまるところ私の仕事の危険度が上がったという意味なのだろう。勘弁して欲しい。


お披露目になぜか霊能局の連中の姿も見かけた。なぜ政府の人間がいるのかは
私には分かりかねることだ。
そして代わりに朝倉の姿はなかった。単に遅刻して入り口で立ち往生しただけだったようだ。