○月 ▼日  No269 隣の閻魔事情


幻想郷に迷い込んだ結界の外の人たちは概ね妖怪に捕食される。 
その話をするとよく聞かれることが
「何故凶悪罪を犯した者が幻想郷送りにならないのか」なのだが
その理由をボスの友人の閻魔様にそのことを聞いたことがある。


その答えとは「幻想郷に送ったら凶悪犯罪者の末路がわからなくなる」からだそうだ。
人間が人間を裁くことは閻魔様にとっては実にナンセンスなことだし、
様々な思惑が介在するので最終的にフェアーな裁きになることは難しいのだが
幻想郷に送ってしまうと、罪に対する報いが完全に隠蔽されてしまうのである。
そうなると犯罪に対する抑止力にならないというのだ。
したがって罪人を裁くのはもっぱら死後、閻魔様の裁きによって行われるのだ。


お隣の国である旧中国の場合、あっという間に終わる裁判の後、
銃殺刑に処された罪人が実は無実だったことが判明して
冥界に行くというケースも散見される。
この国の事情を鑑みれば仕方ない部分ではある。
ちなみにこの閻魔様は地域性を考慮して、微妙にローカルルールがあるらしい。
たとえばエジプトの場合は結婚時の契約違反で地獄行きとなる。
これは一夫多妻制を持つエジプトならではで、
結婚時に契約書を交わしたものが履行できない場合に
死後それが履行されてしまうと言うルールだそうだ。 なんてこった。
お役所も予算によって補助金の支給に格差があるように、閻魔様の世界でも
所轄によっていろいろあるようだ。