■月 ○日  No407 スポーツの秋


朝倉がテニスウェアを着ているので「新手のコスプレですか?」と聞いたら
ラケットの束で殴られた。
私が幻想郷で色々忙しい中、最近社内ではテニスが大流行しているらしい。
体育館でもテニスコートがつくられて、みながテニスに興じていると思ったら、
大体のお目当ては北白河と岡崎コンビ、たまに遊びに来る閻魔様と
言った案配だった。 


昼休みを利用して様子を見に行ったら朝倉が北白河とテニスをしている。 
なるほど確かに目の保養になりそうだ。
異変はその時起こった。 朝倉がスマッシュを打ったと思ったら
大量の弾幕が生成されたのである。 それを避けながらなおも返す北白河。 
どうやら、テニスにスペルカードルールを持ち込んでいるらしい。
流れ弾がギャラリーに命中して何人かが気絶していた。


ギャラリーはそれがいいんだと言っているが、よく見たら二人の目がマジに
なっている。 北白河が拳銃を持ち出したところで、冴月が北白河の後頭部を
小突いて気絶させてくれた。


朝倉は妙な含み笑いをしている。 
倒れたギャラリーをなめ回すように見つめる朝倉の目的は
おそらくテニスをやることで発生する流れ弾をギャラリーに当てて
介抱する振りをしてお近づきになるといったところだろう。


そのことを察したのか冴月が、ぱっと指を鳴らすとたちまちテニスウェアへと
姿を変えた。 一戦交えようというところだろうか。
戦いは普通のテニスのように見えた。 
とりあえず弾幕が怖いので遠巻きに見ていると、案の定朝倉が仕掛けてきた。
たちまち生まれる多量の弾幕。 それは自分の目の前までやってきて


静止した。


朝倉は満足した顔をすると、落下する弾幕を背景にそのまま普通に淡々とした
テニスへと戻った。 それはさわやかな風景だったと思う。
テニス場でカード使用禁止になったのはそれからまもなくのことだった。