■月 ○日  No448 棚卸しをしようか


締め日ともなれば、うちの会社も世間一般の会社と同じようにてんてこ舞いになる。
ここで問題となるのが幻想郷の都合である。
あちらは太陰暦を使っている都合上我々の締日の概念が分かりづらいようだ。
霧雨店からの受取伝票が滞っているということで何度か取りに伺うのだが
そのたびに店員さんから機嫌が悪そうな顔をされる。
こっちだって好きでやっているわけではないので勘弁して欲しい。


幻想郷現地での棚卸しのためにうちのスタッフも今日ばかりは幻想郷に散っている。
棚卸し帳票を受け取りに香霖堂の様子を見に行ったら、北白河が香霖相手に
ヒステリーを起こしていた。 大体の顛末は見当つく。
北白河が拳銃の銃口を香霖の後頭部にあてがいながら片付けをさせていた。
横から口を挟んだら本当に発砲されそうなので黙殺することにした。


霧雨店の棚卸しに明羅女史が行っていた。 もうとっくに打ち上げをしてしまったらしい。
棚卸しなんて段取り八分という明羅女史、今度はぜひ香霖堂を再教育してほしい。


魂魄が中有の道で難しい顔をしている。 いつもように不明在庫がでているらしい。
不明在庫をしょっちゅう出すところは経営状態がおかしかったり、何かしらの
不正を働いていたりする場合があるらしい。
死神の詰め所を覗いてみたら容疑者らしき人物が事情聴取されていた。
さすがにカツ丼はでていないようだ。


薬屋の薬も調査対象となっている。
到着して実査棚卸しに協力してくれと言ったら、ブレザー兎に
きれいにチェックされた書類と一緒に返された。酷い話だ。


夜雀のところに棚卸し帳票をもらいに行ったら、何度やっても数字が合わないと
文句を言われた。 ところが私が検算するとなぜか正解になる。
よくよく調べてみると、客が食べ終わった串を再利用していた。
さすがに食べ物の再利用はなかったとは言え気分がいい物ではない。


帰社してそのことを朝倉に話したら、食器や串の再利用なんて昔は一般的に行われていたと
言われてしまった。 恐ろしい話である。