■月 ○日  No449 黒歴史ノート


幻想郷のカミ様といえど完全無欠な存在というわけではない。
長年生きているとどうしても黒歴史というものができるらしい。
しかもカミ様の黒歴史は恐ろしくスケールがでかいのだ。


冴月によると例の神社にいるおねえさんは昔かなり血の気が多かったという。
現在では相当丸くなったらしいが、怒らせたら確実に八つ裂きにされるとか。
彼女の前では言葉を選んだ方がよさそうだ。


彼女が起こした天変地異のうちもっとも巨大だったのは、
今から6億年前に起こったハイパーハリケーン事件だという。


この異変、妖精たちが喧嘩しているところを仲裁に入ったおねえさんが
最後は本来の目的を忘れて大暴れした事件らしい。
彼女の大暴れで風雨が起きてそれはえらいことになったという。
まず巨大台風が生み出された。その規模とは中心気圧推定でなんと300ヘクトパスカル
中心付近の最大風速は300メートルを越えていたそうだ。 
想像できない巨大台風が世界を蹂躙したという。


この当時カミ様同士数も少なくて干渉もなかったからやりたい放題だったようだ。
そしてその風力で起こる波の高さはおよそ100メートル。 我が国も一撃で沈没である。


しかし、この大暴れで妖精たちは一致団結してその後の海は生命溢れる
空間へと生まれ変わったと言うからわからない。 雨降って地固まるとはこのことを
言うのだろう。 単にもっと駄目な人を見て反面教師になっただけとも言えるかもしれない。


宴の席で、おねえさんが「自分は安全で無害だ」と一生懸命アピールしたのは
その黒歴史を覚えている八百万のカミが幻想郷に多く生息していたからだったようだ。
そして宴に出ていたほぼすべてのカミ様が「白々しい」と思っていたようである。
冴月もその話を聞いており、そしてケロちゃん帽のカミ様との痴話喧嘩に付き合わされて
からあまり信用したくないと思っているようだ。 考えただけでもたまらない。




おねえさんが妖怪の山で信仰を獲得するにはまず黒歴史の払拭が先決のようである。