△月 □日  No485 豚に真珠


年末に向けてシフト調整と打ち合わせ。
幻想郷の年末と我々の年末は暦の違いから多少のずれがあるため
一般的な冬休みを取るのが難しい。 
連休は4日分あるがメンバーでローテーションするしかなさそうだ。
今年に関しては、何故か冬休みを早めに取るように指導されている。
幻想郷の情勢が水面下で妙な動きとなっているかららしい。


どうも幻想郷と顕界との扉が一時閉鎖される可能性もあるということで
物資の持ち込み制限を少し緩める検討がなされているらしい。
倉庫への物資備蓄も始まっており果たして今年は冬休みがとれるのか
微妙なところである。
幻想郷に行った状態で一時閉鎖になったらかなり痛い。


エレンのマジックショップに注文した商品を引き取る。
たいした大きさではないのだが、金額を聞いたら私の生涯賃金と同等と言われた。
とにかく破損したら生命保険でしか弁償できないということか。


会社に戻り朝倉と岡崎の見守る中、出てきたのは一枚の布きれ。
特に金がかかっていそうな装飾があるわけでもなく、地味すぎる代物に
かなり拍子抜けする。 これが私の生涯賃金と同じ価格がするというのか。


朝倉に聞いたら、これは「月の羽衣」と呼ばれるマジックアイテムらしい。
これを使用すると単独で大気圏を突破して月の都に飛ぶことができるという。
エレンがどこからこれを入手したのかは定かではないが、話が本当なら
まさにオーパーツである。


これがあればロケットなんて物を使わなくても月の都に行くことができるわけだが
ボスにヴァンパイアの主人にそのことを話すべきだと進言したら、
ルーコト数機で実験をしたところ失敗したので
隙間妖怪にもこの件を隠せと言われてしまった。
どうやらブツがあっても使いこなせないらしい。


隙間妖怪でさえ隠せと言うところがなんとなく引っかかるが
考えてみれば、「使えません」と言ったら
隙間妖怪が暴れること必至なので、この判断は正しいかも知れない。
これぞまさしく猫に小判ということではないだろうか。