△月 □日  No485 メトセラ的ダイエット


いつものように上白沢のところに教材を納入していたら
急にメトセラ娘に呼び止められた。 なぜか両手を合わせて懇願するポーズをとっている。
何事かと思ったら「私を列車ではねてくれ」と言う。
その大まじめな表情とあまりの発言にずっこけた。


事情を聞くと、秋姉妹のお陰で秋の食べ物を存分に食べたら太ってしまって
冬服が着られないらしい。 それと列車ではねることがどう関係するのかというと
蓬莱の薬を飲んだ彼女は死ぬと薬の作用で蘇生するのだがその時体型も元に
戻るのだという。 素直にダイエットしろよと思うのだが、寒空が身に染み始めて
それどころではないらしい。


投身自殺したらどうだろうと言うと、空を飛べる彼女にとっては投身自殺を試みても
すんでの所で結局浮上してしまうらしい。
池に身を投げ出したらどうかと聞いたら、苦しいから嫌だと言い、氷漬けになって
凍死しようと氷妖精に冷気を吹きかけてはみるものの、自分の体に到達するときには
生暖かい風になるらしい。
練炭を使うことを勧めたらそれでどうやって死ぬのと聞かれて、一酸化炭素中毒の
話をしようとしたが面倒になったのでやめた。
第一冬服なんていらないのではないかと聞いたら、ファッションとして冬服を着たいと
言い出した。 気持ちはわからないでもない。


あまりにエキサイトしていたのか、上白沢に見つかって大目玉を食らった。
命を大切にしろというのはメトセラ娘にどう聞こえるのか気になるところではある。
仕方がないのでダイエットについて詳しそうな人を探すことにした。
真っ先に思いついたのは自称現人神。 彼女だったらきっとダイエットに
詳しいと思って伺ってみる。


事情を聞いた自称現人神は嬉しそうな表情で「任せなさい」と言ってくれた。
自分を頼ってくれたことが嬉しかったのだろう。 そして取り出したのは一枚のDVD
きらきら光る円盤を物珍しそうに見るメトセラ娘を尻目に、自称現人神は
ビデオデッキを動かした。 黒人のおっさんが踊っているあのビデオであった。
横でおねえさんとケロちゃん帽を被ったカミ様も一緒に踊っていた。


その後メトセラ娘はどうやら減量に成功したとのことでたいそう喜んでいたらしい。
上白沢が体質改善した体を維持するために、自殺しようなんて気は
起こさなくなるだろうと言っていた。 
とりあえず結果オーライである。