△月 □日  No487 彼氏がほしい?


ここ数日朝倉と北白河の機嫌が悪い。 
雑誌を読んでは深いため息を漏らし、仕事が上の空なので注意すると怒りだす。
朝倉に話を聞いたら物凄い怨嗟の声で「クリスマスに一緒に過ごす彼氏がいない」と
言っていた。 コメントに窮する。


朝倉は別として、北白河なんかは彼氏を探そうと思えばすぐにでも
名乗りを上げそうな人はごまんといそうなものだが、会社の連中に話を聞いたら
高嶺の花で手を出しにくいという。 
おまけに岡崎と二人で暮らしているためか社員の一部にはどうしようもない
妄想まで広がっている始末である。


冴月に頼んで北白河に好みの男性のタイプを聞いてみた。
無借金であること、自分より年収が多いこと、頼りになることと言われた。
自分より年収が多いというところが引っかかる。
こんな調子ではたしかに男が近寄りがたいのだろう。冴月も二人とも隙がなさすぎると
漏らしていた。 確かに朝倉も男に絡んでくるものの本当に彼氏を求めているのか
疑わしいふしがある。


冴月から自分から名乗りを上げたらどうだと言われたが、朝倉はともかくとして
北白河の場合は何か別の理由がありそうでならない。
どこか遊びに誘っても北白河は岡崎がいるからと言って誘いをことごとく断るので
有名だったからだ。もしかすると北白河は岡崎も養ってくれる人を求めているのだろうか。


会社のミーティングで霧雨のご息女がもしかすると極端な高寿命を手にする危険性があると
いう報告がなされた。 朝倉はなぜか霧雨のご息女が歳をとらないようになることに
強く反対していた。いざとなったら八卦炉に細工をしてでも彼女は普通に成長して
歳をとるべきだと主張する。
ボスは苦笑しながら「それは本人の判断に委ねるべきだ」と述べていたが
霧雨店社長から経済的後見人になってほしいと言われているのは他ならぬボス自身である。
今回の報告は複雑な気分だろう。


この朝倉の意見に強く同調したのは北白河だった。
彼女には普通の恋をして、普通に結婚して普通に家族を持たせるべきだと言う。
あまりに感情的になっているので岡崎に止めて貰ったが彼女にしては珍しい事だと思う。


ふと思い立って会議が終わった後に朝倉と北白河にちょっとしたアドバイスをした。
「幻想郷ならクリスマスがない」クリスマスになったら幻想郷にいればいいわけだ。
二人がはっとした表情でようやく機嫌を直してくれたのでこっちもほっとした。