□月 ○日  No505 紅魔館の宇宙服


博麗の巫女が月に行くというので宇宙服をどうするかという話になった。 
米帝の航空宇宙局では大あわてで小型サイズの宇宙服をこしらえているが
実用化一歩手前までいったものの、間に合うかはかなり微妙な情勢だ。


朝倉は呼吸はほぼ問題ないと言う。 結界に守られた月の大気は
我々の住んでいるところと殆ど変わらないらしい。そうでなければニート姫も
薬屋もここで生きてはいまい。 言われてみればその通りだが不安は残る。
朝倉曰く宇宙放射線の問題も月の技術力でクリアーになっているらしい。
コスモクリーナーみたいなものがあるのだろうか。


月の結界が崩壊するなどして博麗の巫女に危険が発生したらいけないので
緊急用に紅魔館のロケットに搭載できないものかと冴月を交え交渉をしている。
しかし格好が悪いとあまりいい顔をしてもらえない。


メイド長は特に反対をしている。お嬢様はそんなものがなくても活動できるという
理屈なのだが、屈強なヴァンパイアでも宇宙での活動は無理ではないだろうか。
実験したことがないのでわからない。
ヴァンパイアの主人は宇宙服にフリルがない、帽子がないので嫌だという。
色が白で統一されているのも気に入らないらしい。せめて鮮血のような赤がいいという。


だが、彼女たちが本当に嫌がっている理由は別にある。
実は宇宙服はトイレへ行く手段がないので紙おむつ必須なのだ。 
これは一般人でも嫌であろう。
メイド長はお嬢様のプライドを損なう行為だと言うものの顔がデレデレしている。
何を想像しているのかは考えたくない。
ノーレッジ女史はお茶を控えれば良いのではないかと言う。
お茶には利尿作用があるのはわかるのだがそういう問題ではないと思う。


どうやって説得するか、もう一度契約書を熟読してみる。
なぜか使用済み紙おむつの返却規定が書かれていた。 宇宙ゴミ対策だと考えもしたが
なぜか袋に入れて名前を書けと書いてある。 しかも手書きで。
冴月とふたりで顔を見合わせて、とりあえずその条項を黒塗りしてやった。
犯人は誰か分かっている。 北白河にお仕置きしてもらおう。


結局、ヴァンパイアの主人が指定するデザインに近づけることで契約が成立した。
後日、主人がデザインしたというデザイン画を見せてもらった。
まるでコスプレ衣装みたいなごてごてしたドレスであった。
そもそもヘルメットがない。
とりあえずベルクロで宇宙服にフリルや飾りを固定する予定だが
どうなってしまうことやら。