□月 ○日  No504 幻想郷で炬燵ライフ


基本的には電気も満足に普及していない幻想郷
そんな幻想郷に住む庶民の燃料と言えばなんといっても炭団(たどん)だろう。
木炭を砕いて固めた奴で幻想郷で自給できる上に結構使い勝手がよい。
我々の住んでいるところでもつい最近まで現役だった燃料だ。
これを何処に使うのかというと、冬の風物詩であり炬燵に使うのだ。


幻想郷の建物はすきま風が多くとても寒い。 そこで大活躍するのは
やっぱり炬燵であろう。幻想郷の炬燵と外の世界の炬燵は外見上ほとんど
違いがないのはとても興味深いことだと思う。
幻想郷の妖怪たちもこたつむり生活になっている者が少なくない。
夜行性なのに夜は炬燵で眠っていて昼間活動しだしている昼夜逆転妖怪もいる始末である。
こうなってくるともはや恐怖の対象からほど遠い存在である。


納品がてら幻想郷の住民に目を移してみると、永遠亭のニート姫は炬燵に入りながら
盆栽いじりというかなり器用なことをしている。
詐欺師兎は炬燵の中で丸くなったままぴくりとも動かない。
このまま当面眠ってくれるととてもありがたい。
ケロちゃん帽のカミ様もやっぱり炬燵から離れない。 こたつに入ったままもそもそと
移動する様はあの帽子も相まってかなりシュールな光景である。
白玉楼に住む御庭番は、なぜか炬燵に入ることを恥と思っている。
魂魄に事情を聞いたら、やせがまんとというのが剣士に必要なことだという。


だがなんと言っても最高のこたつむり妖怪は河童だろう、
普段背負っているリュックが携帯用炬燵になっているのだ。
うつぶせに寝てリュックから伸びる紐を引っ張るだけであっという間にこたつむりになれる。
まさに河童ならではの発明であろう。
試しに使ってみたのだが私が使うと確実に低温火傷になりそうだ


かつてはスカートの中に火鉢を隠す妖怪が多かったという。
そんな妖怪が火のついたままの炭を外に排出してたびたび火災が起こったらしい。
河童たちも火のついた炭団をしばしば地面に落として不審火が相次いでいるという。
とてつもなく迷惑な話だ。


最近冬眠する妖怪も暖房の進歩で冬眠しなくなっている者が増えているらしい。
幻想郷は冬眠らない街へと変貌しつつあるのかも知れない。