□月 ○日  No520 祭りとお酒


巷では明けましておめでとうと祝賀ムードなのに朝早くから仕事になってしまった。
ボスの命令で今年は無理矢理今日に新年行事を持ってきたからである。
実家や友人達には謝って、いざ会社に出社
新年の挨拶はほどほどに幻想郷へと向かう。
妖怪たちは外の世界の正月ということで大騒ぎ。
奴らは単に馬鹿騒ぎできる口実さえできれば良いのだろう。


深夜からぶっ通しで仕事をしている自称現人神にドリンク剤を用意する。
目に隈をつくりながらもなおも仕事を続けるのを見かねた天狗が
当て身を喰らわせ強引に寝かせていた。


肝心のカミさまは延々とビールを飲みまくっている。
少女妖怪たちは何故かとてつもなく酒が強い。
アルコール度数が90を超える液体まで平気で胃袋に入ってしまう。
このうわばみぶりは本当に呆れかえる。 


朝倉に言わせればカミとの会話にはお酒が欠かせないという。
同時にスペルカードルールが支配する幻想郷においては「避ける」との
掛詞としても機能する。幻想郷の外の世界では「病魔を酒る」という意味で用いられる。
我々が住む顕界でもお酒を飲むことで八百万のカミと交信できる神主がいるらしい。
そのメカニズムは科学によりある程度は解明されている。 


お酒を飲むと大脳新皮質の働きが抑制されることが知られている。
アルコールを飲むことによる高揚感は大脳が普段抑制している古い脳が
解放されるためとされる。
それと全く同じ事が自称現人神の身にも起こっているらしい。
いわゆる巫女の力を発動したときである。
彼女がトランス状態にある時とお酒を飲んでいるときの反応は驚くほど似ているという。
彼女がトランス状態を維持することを助けるにもお酒の力はとても有効だ。
従ってお祭りには必ずお酒が欠かせないのである。 


余談だが自称現人神が飲んだドリンク剤にも少量だがアルコールが含まれている。
少量のアルコールは血行をよくして疲労回復を早める効果があるらしい。
彼女が倒れたしわ寄せはみんなこっちに来ている。
新年早々泣きたくなるようなスタートになった。