□月 ○日  No547 冬のカッパにご用心


久しぶりに河城河童のもとへ配達。いきなり配送先を間違える。
河童たちは基本的に冬になると妖怪の山の別荘で寒さをしのぐことになっているのだが
そのことを忘れて普段の住まいに向かってしまった。
いつも煌々と照らしている明かりが点いていないのでとても焦ってしまった。
結局到着したのは日も傾いた頃で事情を説明したら周囲の河童仲間みんなで大笑いされた。


ものはついでとご飯をご馳走して貰うことになった。 てっきりカッパ巻きが出るかと思いきや
出てきたのはなんとハンバーガーであった。 まさかここでハンバーガーを見ることになろうとは
驚きの一言である。 自称現人神から教えて貰ったようだ。


河童は一般的にきゅうりが好きだが、雑食性で肉も食べることが知られている。
河童たちにとってはハンバーガーもキュウリ料理のレパートリーのひとつなのだろう。
と、言ってもそこは伝聞で聞いたハンバーガー。 ピクルスと肉がたっぷりのライスバーガーである。
それを葉で包んで大きな口を開けて頬張るのだ。 河童たちにとっては作業をしながら
栄養価の高い食べ物が食べられるとあって喜ばれているらしい。


飯を食い終わると外の世界の話を根掘り葉掘り訪ねられた。
香霖堂から色々な廃品を買い集めてきたのだろう、オーディオ機器や古い携帯電話などを見せて
何に使うか聞いてきた。 ただし私でも仕組みが分かるわけではないので、その事を伝えると
どうとったのか分からないが極秘の技術だと勝手に納得していた。


帰りがけに河童たちとっておきの温泉に案内して貰う。
寒さにあまり強くない河童たちにとっては温泉は体を休める良い場所のようだ。
ただ、困ったことに男女混浴である。 河童たちはどうでもよいらしく平然としているが
こっちは目のやり場に困る。
岩とか流れる水などに目をやってひたすら耐えた。
今にして思えば、どうせ相手は気にしていなかったのだから堂々と見ていればよかったのだ。
小市民ぶり大爆発である。


次の配達先、ケロちゃん帽のカミ様が応対。 いきなり河童の温泉の話になり
出されたお茶を吹いてしまった。 
実は河童たちはいわゆる山童になっている間、山のカミとして他の八百万のカミと通信できるらしい。
今日の私の行動は私が移動している間にすでに幻想郷中を駆けめぐっていたそうだ。
自称現人神が顔を真っ赤にして目を背けるわ、おねえさんは「ヘタレ」と言って馬鹿にするわ
散々であった。 冬場河童と遭うときは対応ならびに行動に注意されたい。