□月 ●日  No654 夜の社交場「C2H5OH」


黄昏酒場群にあるお店 夜の社交場「C2H5OH」
仕事の打ち上げで、今日はここで夕食会となった。


店の中身はどちらかと言えば女性向きの内装。
間接照明を駆使した照明空間と清潔感溢れるガラス棚がトレードマークの店作りである。
女将さんである有江さんは、うちの女性社員に言わせると化粧が上手いらしい。
よく北白河や岡崎が化粧のやり方を教わりに行っているそうだ。
どうやら岡崎の学生時代、同じサークル仲間だったそうである。
まったく人の縁は恐ろしい。


夕食と行っても総菜のバリエーションは少なめである。
代わりにサラダや果物類が多い。 沢山の果物を適当に選んでお酒で割ることができる。
朝倉や魂魄がいろいろな物を試していたのだが、結局私は無難にレモンで済ませてしまった。
それはそれでもったいない気もする。


店の雰囲気がいいためか、隙間妖怪もここを訪れるそうだ。
顕界の人間が隙間妖怪を知っている事も驚きだが
「絶対忘れられない外見でしょう」と言われて危うくお酒を吹いてしまうところだった。
最初、本当に対応に困ったらしい。
確かに何も前知識がない状態で隙間妖怪に出くわしたら何かの変質者だと思ってしまうだろう。


黄昏酒場群には多くの妖怪が訪れることで知られている。
多少特徴的な外見の妖怪でも、普通にあしらうことができる。
もちろん妖怪であろうとも、「ツケ」の支払い請求は容赦しない。
スペルカードを実行して鉄拳制裁である。


朝倉はこのお店そのものがスペルカードの威力を高めるための力場を形成しているという。
あまりカードの訓練をしていなかった有江さんが、そこら辺の妖怪と対等に渡り合うことが
できるのもそのためだそうだ。


宴もたけなわになったのでお金を支払って帰ろうとしたら、
隙間妖怪にお金を請求してくれということで、書類を手渡された。
なんかゼロが数個多い価格のような気がするのだが
どうせ支払うのは会社である。よって気にすることはないと思う。


北白河に請求書を見せたら、酒場に行っていたことが浅間にばれた。
浅間はずるいずるいと言いながらふくれっ面をしていた。
まあ、今日の会社も割と平和である。