□月 ●日  No653 幻想郷結婚事情その2


学生時代の友人が結婚するというので前祝い。
飲み会の席で私にもお相手が居るのかと案の定話を振られた。
今度いい人を紹介してやると言われたが、自分の仕事についてまともに話ができないのは正直辛い。
年収もそれなりだと思っているのだが、ふと考えてみると、私の周囲の異性はそもそも人間じゃない人が
多いことに気づく。


朝倉はどうみても千年くらいは生きていそうだし
岡崎や北白河は私と年齢差があってジェネレーションギャップを起こしている。
明羅女史は完全に高嶺の花だ。
私と同年代というと浅間だが、一緒になったら確実にパラサイトされること請け合いで
これまた微妙な雰囲気だ。
そんな話を朝倉にしてみたら、あなたも妖怪になればいいじゃないと言われた。


さて、幻想郷からやってきた妖怪と結婚できるのかと真面目に聞いてみると面白い答えが
帰ってきたので書き記しておく。
以前も書いたとおり幻想郷では恋愛と結婚は完全に分離して考えられている。
結婚は家を守るためのもので恋愛はふしだらな行為と考えられている。


つまるところ、幻想郷の妖怪と仲良くなったところで結婚するとなったら
話は別だと言うことだ。 そこが幻想郷と外の世界とでは大きく違う。
そして、女性は結婚すると嫁入りと言って家財道具を家に提供するという仕組みだ。


この顕著な例が霧雨のご息女だろう。彼女の家には多くのタンスやテーブルなどが
置かれているのだがこれらは皆、霧雨店の社長が彼女が結婚しても困らないようにと
買いそろえた物だという。
人形遣いのアリスの家も彼女の収入では考えられないほど豪華な家具が置いてある。
こちらは魔界神様がかなり無理矢理我々に揃えさせた曰く付きの一品らしい。


朝倉の話では人間と妖怪で結婚することはかなり珍しいらしい。
一般的に家が優先されるので、基本的に家をもたない妖怪は流れ者として考えられるためだ。
それでもごく希に人間と妖怪で結婚するケースもあるのだが
多くの場合あまりいい結末にならないらしい。
ある妖怪と人間のハーフは幼少ですぐに丁稚奉公に出されてしまった。
今では独立して店を構えているそうだが、人間と妖怪のハーフはかなり厳しいようだ。


朝倉は恋愛による結婚と家を守る結婚どちらがよいかはわからないと言っていた。
なるほど彼女は多くの男女関係を見た上でそう言っているのだろう。
ともあれ、私に春が来るのは当面先のことだと思う。