□月 ●日  No880 恋愛のプロフェッショナル


幻想郷にある人間の里。
この糞寒い時期の中、長蛇の列が目にとまった。
列に並んでいる人に話を聞くと、恋愛相談をやっていて、その通りにすると
確実に恋の悩みが解決するのだという。
幻想郷では恋と結婚は分離して考えられているだけにプラトニックな恋愛相談は
ちょっとした需要があるのだろう。


列の先頭まで足を運んでみる。そこで相談している人物を見て目を疑った。
なんとそこには氷雪妖怪 レティホワイトロックがいた。
彼女が恋愛相談とはあまり馴染みがないように思えるのだが実際はそうではない。
むしろ彼女こそ恋愛については百戦錬磨であることが通の間では知られているのだ。


唐突な話であるが、うちの部署にはレティホワイトロックの子孫がいる。
妖怪や神族の子孫と言えば自称現人神が知られているが、
どうも朝倉たちの話を聞いていると血が混ざる程度ならそれほど珍しくないことがわかってきた。
特に雪女たるレティホワイトロックは世界各地で恋愛を繰り返した結果、沢山の雪女の子孫が
生まれる結果となってしまったらしい。


もちろん妖怪の子孫といっても何か能力があるわけでもなく、
妖怪との縁があるという程度で普通の人間とまるで変らないそうだ。
それくらい全世界に彼女の子孫は拡散しているとも言えるだろう。


列の中に中間管理職狐の姿を見て思いっきりずっこける。
まさか彼女にも恋の悩みがと思ったらどうやら違う話らしい。
なんでも彼女は幻想郷にあるいくつかのバックドアを利用して、結界の外の世界と幻想郷を
行き来しているのだという。
「黒幕だから仕方がない」と答えたら大まじめに考え込まれてしまった。
特に意味はないつもりだったのに。


外で氷妖精の客引きを見る。 男の落とし方とか、化粧の仕方、恋愛相談の応じますと
かなりえげつない発言が飛び出して、こいつ本当に意味が分かっているのかと思ってしまった。
中間管理職狐にそこのところを聞いたら、恋娘だけにかなりの耳年増と言われてコメントに窮した。