■月 ●日 No879 不明在庫

経理部から在庫が増えすぎたので経理処理しろというお達しが来る。
幻想郷から注文を受けた商品はしばしばロット取りのせいで商品が余ってしまう。
余った商品は霧雨店で捨て値で捌くなどしているのだが、それでも余って倉庫に塩漬けになった物は
経理処理をすることになる。
埃まみれになった商品をカメラで撮影、評価処理依頼書に書いて売価金額をゼロとして計上するわけだ。


ジャージ姿の北白河が倉庫の奥にしまいこんだ商品を取り出す。
何故彼女がやっているのかと言うと、我々が触れられたくない商品を発掘するためである。
ぶっちゃけ発注ミスなどでとりあえず、新しい商品を発注して返品できずに倉庫に仕舞われる品々である。


この手の商品の大半は朝倉のせいである。
この前も謎の商品が入荷して商管から突っ込みが入れられた。
後で、朝倉が間違えて入れた化粧品だと判明したが人事が万事こんな調子なので
北白河が毎度不機嫌な状態なのだ。


この日もわけがわからない健康食品の類が発掘された。
隙間妖怪からの注文だったらしい。
たまたま電話を受けたのが朝倉だったため、えらいことになってしまった。
それでも何とかなっているのは、彼女の強力なコネと交渉力によるものだ。
結果的にあまり発覚しないで収まるので、明るみに出ると手遅れになっていることが多い。


あまりにたくさん出てきたので若いもんやら妖怪たちを借り出して倉庫整理になった。
みな全く関係ないわけでない。どこかで心当たりがあるものばかりだから
妙な雰囲気で仕事をする。 皆が自分のかかわった商品が発掘されないかとびくびくしていた。


仕事も佳境に入った時のこと、なぜか閻魔様がやってきて猛然と倉庫を整理しだした。
すかさず北白河の突っ込みが入る。 
ボスが処理していた閻魔様の衣服が倉庫に眠っていたようだ。
それは世にも恥ずかしいフリル付きの衣服であった。
ああ、なるほどと頷いていたら後頭部をどつかれた。 よく生きていたものだと思う。