□月 ●日  No878 閏日問題

幻想郷とその外の世界を繋ぐ境界。
ここを突破するときに少々困るのが微妙に起こる時差である.
昼間に幻想郷に突入したと思ったら、夜になっているというのもざらの話だ。
移動時間と思えばすぐに慣れるとはいえ、サーカディアンリズムが狂うので体調が悪くなる。


実は幻想郷の外と内側では一定時間であるが時間のすすみが違う。
これは博麗大結界を通して空間エネルギーに差異が生じている為だそうで、朝倉の話では1000年前に
アホな月の賢者が勝手にリズムを動かしてグダグダにしたという。


今日はエンジニアのための閏日問題の説明会である。 
出席しているのは各国のコンピューターメーカーとエンジニアたちである。
彼らの中には顕界で第一線で活躍している妖怪のコンピューターエンジニアたちもいる。


外の世界の品物を何もせずに幻想郷に持って行くと時間の誤差ですぐに調子が悪くなるため
制御基盤を交換するなどして、幻想郷仕様へと改修する必要がある。
そのために必要なアルゴリズムなどを説明、技術交換をするのが今回の目的である。


といってもカレンダーの回し方が少し違うだけで辻褄が合うから別に問題はない。
考え方は至極単純、幻想郷には名実共に2月29日がないだけである。
単純なことだというなかれ、2000年問題というカレンダー問題の時だって大パニックになったのだ。
相当の費用もかかるし大迷惑なだけだ。
顕界の商品がそのままやってきてしまう香霖堂では、カレンダー機能がある家電商品には、
時間を歪める式神の力があると言っている。それは仕様だと言っているがなかなか納得してもらえない。


薬屋とか、月人のつてを使ってどうかにかならないかと言われたこともあるが流石に無理だと思う。
第一連中は下賤な民が何を言うか程度にしか思っていない。
端から期待するだけ無駄というものだ。
依姫から頼んで貰う絡め手も考えたが、後で変なお願いをされるのは目に見えているのでやめておいた。


朝倉にその話をしたら、あちらの頭のネジが数本吹っ飛んでいるので無理という答えだった。
玄爺は笑いながら、出来てたらとっくにやっているよと言っていた。
ボスはそんなことをしたら幻想郷の妖怪がますます増長する結果になるから駄目と言っていた。