□月 ●日  No652 お茶漬けが食べたいんだ文句あるか?


夏も近づく八十八夜ということで、幻想郷では新茶シーズン真っ盛りだ。
今月上旬に摘んだお茶の葉がこの時期店頭に並ぶ。
そこで始まるはお茶争奪戦。 今年一番のお茶漬けを賭けていざ鎌倉。


幻想郷の妖怪たちはお茶が好きである。
冬の香気が薄れたお茶からおさらばできるとあって
この日、前日から並んだ人間と妖怪たちで長蛇の列を作る。
お茶の値段も新茶とあらばかなり高価で、高級品は私の月の給料分くらいかかる。
私も前日から参戦。 他の社員と北白河にアホと言われつつ
霧雨店開店にあわせて並ぶ。 裏から手を回すなんて野暮なことはしない。


中間管理職狐とブレザー兎を発見。 
軽く会釈を交わして適当に会話。
昨年はブレザー兎の活躍によりお茶争奪戦は大混乱に見舞われたが
今年はきちんと並ぶことになっているらしい。
中間管理職狐は隙間妖怪の我が儘で並ばされているようだ。
隙間を利用してお茶の葉を盗もうと試みたこともあったが、総スカンを食ったため
やらなくなったらしい。


うちの社員も何人か並んでいるようで、軽く辺りを見回すと
阿礼乙女のお使いだろう明羅女史が笑顔で手を振っていた。
なぜか浅間の姿も発見。 呑兵衛の浅間がなぜお茶を買いに来たのかと尋ねると
「お茶割り」が美味いらしい。 凄く納得した。


お一人様一袋という看板を横目に、従業員と一悶着起こしているのは自称現人神と
カミ様ご一行。 ケロちゃん帽のカミ様ミシャグジ軍団は人数に入りますかと尋ねて、
「はいりません」と店員が即答。泣きながら地面でじたばたしている。
三袋も買えるのに不服か。これがカミというのだから世も末だ。
自称現人神が顔を真っ赤にしながらこっち見ないでというオーラを漂わせているので
他人の振りをする。


上空から行列の様子を撮影するのは鴉天狗軍団。
見上げると目の保養になるため、皆カメラ目線になる。
鴉天狗は自分たちの取材に協力的だと思っているようだが絶対違う。


夜が明けて、お茶袋を無事購入。 カードで身を隠しながら空で繰り広げる弾幕ごっこ
被弾したせいでばらまかれるお茶の香りを味わいながら全速力で逃亡した。
明羅女史は手慣れたもので無事帰れたそうだが、他のメンツは知らない。
一つ言えるのは明日は後片付けが大変そうだということだ。