□月 ●日  No937 人として終わってる


分かってはいたのだが、いよいよ私は人間扱いされていないらしい。
タツキ姉妹に言われ、挙げ句の果てには自称現人神にも同じように言われた。
曰く妖怪じみた人間だそうである。 まあそんな感じと言えばそんな感じかも知れない。
もう既に諦めた。 朝倉に言わせれば妖怪相手にハッタリかませるのだから十分妖怪じみているという話だった。
そんな私に誰がした。


一方で朝倉はどこかのイベント帰りなのかごっそりと痛い紙袋を持ってご満悦の表情である。
たまたま配達だったから自分は無事で済んだが、うちの若いもんが兵隊として持って行かれたようである。
袋の中を見たら大半がホモ漫画だった。 彼女はもはや人間よりも人間らしい魔女である。
いろいろ語弊はあるけど。
それよりもあんた例大祭に行っていたんじゃないか、幻想郷の例大祭じゃなかったのか。
いや、これはいくら何でも例大祭違いじゃないのか 例大祭の名を借りた別のイベントじゃないのか。
北白河が呆れた顔で一冊幾らと尋ねると、どう考えてもあり得ない額が算出された。
これには苦笑いをするしかなかった。


この本は確かに朝倉の趣味も相当混じっているが実は妖怪同士の近況が隠されていると言われている。
さて、妖怪同士の連絡は専用のスキャナをつかう。 河童が開発したという幻想スキャナ。
まずは本を丁寧に分解してページ順に並べる作業。
おい浅間よ北白河よ、濡れ場シーンを見ておーおー言ってるんじゃない。
大半の作業を一人でやる羽目になりながら解読作業に入る。


色々と画像加工するとアブリダシのように妖怪たちの言語が浮かび上がる。
これを朝倉の魔法で加工すると現代語訳となる。
色々平和な文面の中割とシビアな話もちらほらと見受けられる。
特に経済で色々と動揺期に入ると、自然を守るなどといったことに関わる予算が真っ先に削られるようだ。
一方で神頼みの頻度が増えているのかそれとも有力な神が幻想郷へと旅立っているのか
カミ同士で信仰の明暗が分かれていた。
人が来ると信仰は増すのだが最近はなんか観光地と一緒にされているという愚痴がかかれていた。
どうやらこの辺の悩みは幻想郷も顕界も変わらないようだ。


余談であるが、私を守る際に姿を変えながら魔法を唱えた朝倉であったが
タツキ妹に言わせれば、自分の手の内を伝えるような姿の変更をするのはおかしいと言っていた。
試しに朝倉のカードを見せて貰ったとき簡単に逆アセンブルを試みてみたら
大半がコスプレ関係の記述で埋まっていた。
絶対違うところで利用しているに違いない。 どうみても業務上横領のような気がする。


その魔法の一部が霧雨のご息女が使っていると言うことも分かって色々切ない気持ちになった。
知らぬが仏である。