□月 ●日  No688 そして うさぎさんズ


うちの会社に列車に乗って沢山の兎軍団がやってきた。
なんでも月の兵隊兎だということだが、傍から見たら学生軍団の見学隊みたいな様相である。
ボスが呻くように、月との友好関係構築のためだから我慢してくれと言っていた。


外見的にはブレザー兎とあまり変らない。
だがこいつらは一人で完全武装の兵士とやり合えるくらいの戦力の持ち主ということである。
と、月の門番さんが言っていたのだが、どう見ても実感が湧かない。


兎軍団はうちの男性社員の心を一撃でつかんだ。
外見の愛らしさとか、とても兵隊とは思えない暢気さといい、守ってやりたいと思えるのだろう。
会社を案内する役とかいうのをじゃんけんで決めたら勝ってしまった。
負けたいと思っていたときに限ってこのザマだ。


兎軍団がここに来た理由は割と単純だ。 
実戦訓練をさせて敵前逃亡しないようにして欲しいという依頼を受けたからだ。
本来なら幻想郷で弾幕ごっこでもやらせればいいに決まっているのだが
隙間妖怪的には体のいいやっかい払いのつもりなのだろう。


兎軍団が一番気に入っていたのは畳敷きの休憩室だった。
そこにいたヴィヴィットたちと一緒に勝手にくつろぎ始めている。
テーブルの上にあった羊羹があっという間に無くなってしまったことに気づく。
浅間が飲み屋で買ってきた羊羹である。 事務方皆で食べる約束だったものだ。


テレビを物珍しそうにみたり、いつの間にか寝転んでいる者
酷いケースだといびきを掻いて寝ている者もいる。 
なんとか排除しようと頑張っていたところに浅間たちが入場。
テーブルの上に置いてあった筈の羊羹を見て、いきなり口論が始まった。




10分後飲み会と化していた。
何故かは分からない。 ただ下世話な話題がとりとめもなく続いている。
そろそろ別の部屋へと促すと今度は浅間が絡んできた。
真っ赤な顔で皆が楽しんでいるのに隣の部屋へ連れて行くなと言う始末。
「さすが伊佐美ちゃん話がわかる」と事務方の女性、兎軍団意気投合しまくりである。
もはやなるようになーれという按配だった。


すべてを諦めかけたそのときである。
いきなり兎たちの背筋がまっすぐになって、その視線はある一点に集中した。
それは明羅女史だった。 兎軍団曰く、何でも鬼教官に似ているのだとか。
明羅女史がかなり複雑な表情をしていた。


何故だろうろくに何もやってない気がするのに凄く疲れた。