□月 ●日  No695 幻想郷エアコンプロジェクト


毎度の事ながら幻想郷の夏もかなり熱い。
うちのスタッフも熱中症にかかる一歩手前である。
しかし幻想郷の人たちと言ったら、気分が涼しくなることを重んじている。
やせ我慢の文化それが幻想郷である。


博麗の巫女が庭に打ち水をしている。
確かに少しは涼しくなるのだが、後に残るのは湿気と汗でへばりついた衣服だけだ。
だいたい配達するために用いている乗り物にエアコンがないのが間違いだ。


一方例の神社。汗だくになってモノを届けていたら
中からひんやりとした空気が流れてくる。
連中はエアコンを全力稼働していた。
快適そうに暮らしていると思いきや、中はものすごい低い気温なのに
熱くて仕方ないらしい。
空気をまわせばいいじゃないと
教えたら大分暑さが和らいだと言っていた。難儀な話である。


余りに快適そうに過ごしていたので、
幻想郷の住民が暑さで参っているから何とかしろと言ってみた。
何とかしたら信仰が集まるぞと言ったらあっという間に同意してくれた。
現金すぎる。


作戦はこうだ。
まずケロちゃん帽のカミ様に全力で雨を降らせてもらう。
これだけだと地面は冷却され一気に気温は落ちる。
そこにおねえさんが空気を乾燥させる。 排水は夢幻館前の湖を使う。
そして自称現人神が風を起こして乾燥した涼しい風を送るという寸法だ。
これを幻想郷エアコン大作戦と名付けることにした。


作戦は順調にいった。思った以上に涼しい風が幻想郷を駆け抜けた。
がしかし、


結局鬼娘が集めた熱風で幻想郷はまた熱い場所に逆戻り
自称現人神達も何のためにやったのかわからない。
しかし湿気が一緒に取れたので少しだけ過ごしやすいようだ。


信仰の代わりにやってきたのは鬼娘だった。
なぜか自称現人神に抗議している。
鬼娘曰く、外を冷やしすぎたら夜の冷たいビールが美味しくないとのこと。
自称現人神が負けじと鬼娘に舌戦を挑むと、鬼娘は無視して力を発動してしまった。


結局せっかく冷えた幻想郷の気温も鬼娘の我が儘で台無しである。
朝倉にその話をしたら、私が悪いと言われた。
暑さを克服するための謂われが意味を成す幻想郷で
気温を下げる行為などをやったら、幻想郷に悪い影響を与えかねないそうだ。


おねえさんとケロちゃん帽のカミ様をなだめるのは大変だった。