□月 ●日  No727 社内カンファレンス「弾幕戦で生き残る方法」 講師 玄爺


スペルカード戦では、相手の弾幕を見切る他に能力を見極めることも必要となる。
というわけで、玄爺のスペルカード戦レクチャー。
私の場合はとにかく逃げることが重要なのだが、逃げるときも相手の能力を把握して逃げるのと
把握しないで逃げるのとでは生存率が違うってものだ。
普通なら情報部からの情報を頼りに脱出方法を考えるものだが、通信が途絶えたり
新種の妖怪だったりした場合はこうした戦い方も覚えないといけないようだ。


相手の能力を把握する。相手を観察して身体的特徴などから能力を推察する。
周囲の音や風の流れも相手の能力を類推するには有効である。
風の流れに反してあり得ない衣服の動きをしていれば、それは能力が発動した証拠と
考えることが出来るだろう。
また妖怪との会話を介して能力を推測する方法だってある。
相手が口を滑らせてヒントを言えば、対策はいくらでもしようがある。


たとえばメイド長のケースで考えれば、移動したにもかかわらず髪の毛がゆがんでいなければ
髪の毛が元にもどる原因を考えることになる。 衣服の動きと髪の毛の動きに整合性が
ないのなら、何らかの方法で空間的なゆがみが生じていると仮定するのが自然だ。
ここで幾つかの実験を行ってみる。 能力がどこまでの範囲に効果を及ぼすかということだ。
たとえば小石を投げる、相手を挑発するなど色々考えられる。
経験論だが挑発はどのタイプの妖怪にもそれなりの効果を上げることが出来る。
言葉を上手に選べばまずまちがいなく能力をぺらぺら喋ってくれる。
目上の妖怪なら、教えを請うように、知能が低い妖怪は罵詈雑言浴びせると効果的だ。



ここでメイド長の能力における弱点を推測してみる。
メイド長の場合は時間を操る能力である。 時間を操ると言っても周囲全ての時間を
停止してしまっては呼吸する空気の流れすら止めてしまうことになる。
肺が酸素を送り込みはき出す場所を確保するとなれば、自分の周辺は時間を完全に止めることが
出来ない理屈である。
そして根本的に完全停止してしまえば、もはや観測行為もままならないという問題である。
光が網膜に到達しなければ視覚として感知できないからだ。
ここでわかったことは、 


メイド長の周辺は普通に時間が流れる。
時間を停止することはできず、あくまで極端に遅らせることだけできる


となる。こうなれば戦法は割と単純。
回避できないくらい沢山の弾幕を懐に送り込めばいい。
幸いメイド長は能力を過信するきらいがあるのでさらに自分で自分を追い詰めることだって有り得る。
朝倉は浮遊地雷を周囲にばらまいて動けなくすることも有効だ言っていた。
薬屋が見せた浮遊地雷はメイド長の動きを確実に封じることに成功しているのである。


先に述べた情報部は妖怪の能力を教えてくれる頼りになる連中だ。
ただ情報部の情報はスペルカード戦の公正を期するため薬屋にも提供されているそうで
いざとなった時の戦い方は大いに参考になる話である。