□月 ●日  No732 立つ鳥跡を濁しまくり


守矢神社跡で霊能局の櫻崎に会う。
すでに守矢神社は再建の動きとなっており、当時の写真資料などを参考に復元作業が進んでいる。
神社が再建されたとき、そのとき守矢神社は真の意味で幻想行きとなる。
自称現人神の存在は忘れられるだろう。 一部の親しい友人を除いてだが。


現在櫻崎が守矢神社のいろいろな残務処理を行っているらしい。
荒事が得意な小兎姫と違い、櫻崎は割と事務もこなすタイプのようだ。
櫻崎が私に見せたい物があるというので工事事務所で色々見せてもらう。
そこには請求書と書いてあった。 一気に血の気が引く。


守矢神社が移動したとき顕界ではてんやわんやの大騒ぎになった。
現代の建物はいろいろなインフラが通っている。これらを無計画に幻想郷に送れば
何が起こるのか。


まず周辺の建物が断水になった。 建築物の移動により水道管の一部が移動。
水道管の破裂と発表されたが、付近は水浸し。
断水状態となった周辺住民に給水車が派遣される騒ぎになった。
一部建物では床下浸水状態になり、建物の外では土嚢が積まれていた。
中途半端な床下浸水状態のため、付近は浄化槽が破損。
あっちこっちで香しい臭いが立ちこめる結果となった。


現代では地下にもいろいろなケーブルやインフラが埋設されている。
守矢神社では幸い合併処理浄化槽を用いていたため下水道関係のトラブルは回避できたものの
一部埋設してあった送電線が抉られて付近の建物が停電になった。
電話線やPHSのアンテナも一部抉られてしまったため、あちらこちらで通信障害も起こった。
最近の企業ではコンピューターの通信に民間の光回線を用いることが少なくないため
被害が拡大したようだ。


鳥居や神社が無くなることであちらこちらで幽霊達が制御不能になったことから
霊能局の面々やうちの会社の人間が事態の収拾に乗り出した。
霊感が強い付近住民に色々と影響が出たらしい。


こんな調子で現代の神隠しというのはいろいろなところに迷惑が掛かるのである。
櫻崎はまず、幻想郷の守矢神社を建立してから自称現人神とカミ様一行を引っ越しさせる
べきだったと言っていた。


これは正直結果論と言えるだろう。 一応小兎姫から当時の守矢神社の状況は知らされていた。
櫻崎はそのことを知らない様子だったから敢えて言わなかった。
奇跡を起こすことができる人物が顕界でどういう扱いになるのか
そこに様々な利権などが絡むことだってある。
あのときあの神社は丸ごと消滅しないといけなかった。 さもなければ放火されていたかも知れない。


櫻崎にせめて被害額だけでも言ってくださいというのでトータルの資料だけ受け取って帰る。
複写が会社に置いてあるのだが、自分の生涯収入よりも高かったとだけ書いておく。