□月 ●日  No737 氷妖精と総体変化


真夏の炎天下。氷妖精は特に忙しい。
消滅してもすぐに復活することをいいことに冷房代わりに次から次へと狩出される。
あまりに不憫になったから本人に尋ねたら、「最強である私を頼っているから当然」という答えが
帰ってきた。


いいように利用されている氷妖精。
彼女はよく馬鹿と言われる。もちろん自分で自立思考をし、人間の言葉を解す妖精が本当に
馬鹿であるはずがない。 
そう言う意味では彼女は明らかにレアケースと言える存在であろう。
確かに深い思慮に溢れた行動こそ苦手なものの、物事の善悪もつくし
第一きちんと会話できるのだから十分凄いと考えるべきではないか。


しかし朝倉は氷妖精が馬鹿と言われる理由は「謙虚じゃないから」と言う。
謙虚であるということは、自分の変化を恐れない態度の事だというのである。
変化できるということはそれだけ破綻を減らすことができるということだ。
もちろん妖精の場合、何度も訪れる破綻を妖精ならでは復帰能力でカバーしていると言える。


高度な妖怪は自己の総体を変えることができる。
時代の変化やニーズに合わせることができる。
変化するためには、どう変化しているかを知る必要がある。
そのためのアンテナも常に張り巡らせている。


そして高度な妖怪にかならずあるのが人格まわりの「あそび」だ。
一見謂われで雁字搦めになっているように見えても、実際の活動では
ある程度自在に自分の総体を変える余裕があるのである。


変化と言えば、自称現人神もケロちゃん帽のカミ様、おねえさんたちも幻想郷に
徐々に対応しているようだ。 
ボスは適応が進みすぎても問題があるので注意されたしと言うのだが
一体何が言いたいのだろうか。


たぶん、どうしても身内に甘くなるのが世の常であるから
少し距離をとってきちんと接するようにするべきかも知れない。