□月 ●日  No739 幻想郷における錬金術


自称現人神からいきなり錬金術について尋ねられて
まともに答えることができなかった。
不勉強振りをいきなり痛感させられる。


錬金術」。所謂普通の金属を「金」に変えることを目的にした数々の試みである。
幻想郷でも錬金術は存在する。もっぱら魔女が片手間にやるものと相場が決まっている。
しかしながら幻想郷であっても普通の金属を金に変えることは残念ながらできないようだ。


「金」は理論上核融合によって生み出される。もっとも恒星であっても核融合
金を生み出すことはできないらしい。「金」が生まれるのは天露(星)が死ぬ瞬間
すなわち光陰に移された瞬間の爆発現象によって生み出される。
まさに「生命」の輝きなのだという。


幻想の世界にいけば金を生み出すことができると信じた者たちはここで限界を見たようだ。
幻想の世界であってもカミが死ぬ瞬間しか金を生み出すことができないからだ。
もっとも核融合が起こるくらいの高熱と高圧を発することができるカミがいてもそれは難しいらしい。
作れたとしても微々たる量しか作れないそうだ。
ちなみに同じ質問を綿月依姫に尋ねたら、自分が蒸発すると言って馬鹿にされた。
朝倉はそんなことをするくらいなら炭素から金剛石を作った方が手っ取り早いと言っていた。


何故突然錬金術に興味を持ったのかと尋ねてみたら、つい先日
軍服を着たダンディなおじさまがここにやってきておねえさんと話をしていたという。
間違いなく米帝ゲイツ氏であろう。
石碑を建てるのに、守矢神社を助けを借りるつもりなのだろうと勝手に納得していたら
石碑の話は一切無かったと言われて私も目が点になった。


会社に帰って朝倉に報告したら、いきなり朝倉が冴月に平謝りしていた。
石碑は既に建っていて、朝倉自身供養のためにそこにやってきたと思っていたようだ。
冴月はとても怒った表情で会社を後にした。
おそらくあの二柱のカミがなにかを「やらかした」に違いない。
冴月がぶつくさと愚痴を言っている「やっぱりあのとき殺ればよかった」とか
色々物騒になっていたので触るのをやめた。