□月 ●日  No740 お盆があけたら


盆休みの帰省ラッシュも終わりほっと一息の列車ダイヤ。
休みの日でも休み無く物品を送っているからだんだん休みの感覚がなくなってくる。
毎度の事ながら幻想の世界で物資を補給するというのは何とも不思議な感じがするものだ。
幻想の世界ならご都合主義で何でも入手できそうなものである。


だが実際はというと全てを自給自足でまかなえる訳ではない。
そもそも人間は有史以来ずっと貿易をしてきた。 
そうでなければコメなんか伝来するわけがない。
自分の家族の中で自給自足をしていては
ちょっとした環境の変化に耐えられず飢えて野垂れ死ぬだけである。
鎖国状態だって実際は輸出入規制の一環にすぎないのだ。


岡崎が幻想郷にやってきたとき、その制約の多さに驚いたらしい。
魔法があればエネルギー問題も解決して、無限大の物資も手に入れられると思っていた。
だが内実は、外から物資を運び込まないと維持できないようなところだったのである。
岡崎の落胆は相当のものだろう。
岡崎の目的は学会に自分の理論を知らしめることだけではない。
幻想の世界の品々を持ち帰れば大金持ちになれると思っていたようだ。


さて盆が終わると大量の商品がうちの倉庫に届く。
盆明けの翌々日はそれはもう酷い有様だ。 盆開け扱いで受けた商品が一斉に出荷されてしまうからだ。
急いで幻想郷にピストン輸送しないといけないのだが、こっちはこっちで
霊魂どものピストン輸送も同時進行で行わないといけないためとても難儀する。


伝票が押し寄せてスパークしているのは北白河だ。
割と淡々と仕事をする浅間と違って商管の人と喧嘩することしきりである。
今日は木材の中に外来種の虫がいたと言うことで大騒ぎしていた。
恐らく表面加工がきちんと出来ていなかったものと思われる。
幻想郷に送るともっと大騒ぎになっていただろう。


最近浅間が仕入れるお酒について口出しをしてからというもの
お酒に関する苦情がみるみる減ったそうだ、
妖怪たちに合う酒を選定するのは味見のためと言われるが大目に見てやるべきだと思う。
酒造メーカーも幻想郷を最後の市場として見ているようだ。
こうしてお酒が幻想入りしてしまうのかもしれない。


このように今日もあちこちで物資を巡るいろいろな事件が起こっているのである。