□月 ●日  No741 地下妖怪を取り巻くものたち


最近魔界の温度がいい感じで上がっているらしい。
あの魔界神様も薄着になっているほどだそうで、色々と目の保養になりそうだ。


地下の妖怪の中には脳に直接作用することができる者が数多く存在するらしい。
魔界神お就きのメイドによれば、地下生活で鬱屈した暮らしをしていても
脳に直接作用する能力を活用することで、より豊かな暮らしができるらしい。


嫉妬妖怪は大脳辺縁系に直接作用することができる妖怪として知られている。
計画行動よりも情動を優先させる思考にすることができるため
戦略的にとても価値がある存在なのだそうだ。
もっとも効果範囲に指向性を持たせることができなかったため、その能力は十分活用
されないままらしい。


最近魔界では蜘蛛妖怪が大人気だそうだ。なんでも悪寒を感じる病気に感染させて
気分だけでも涼しくしようという企画らしい。
病気を何だと思っているんだと憤慨する蜘蛛妖怪を尻目に、ブームは鬼達にも広がっており
元から底なし沼のような体力をもつ鬼達には体温だけでも涼しい気分になれる熱病は
便利の一言で済まされるようだ。
あなたも感染してみない?と言われたが丁重にお断りした。


脳に直接作用する妖怪を利用して暑さを感じないようにすればいいのではと
魔界神様に進言してみたが、それはとても高度でかつ色々問題も起こるので
駄目だと言うらしい。


魔界に扇風機を導入。 夏物処分に合わせて安く手に入っている。実に便利だ。
閻魔様が書類が飛ぶとぼやいていたが、暑さには勝てないらしい。
制服を脱げばいいのだろうが、透けて見える下着のせいでただでさえでもあまりない
威厳がさらに酷いことになるとのことだ。


そういえば死神嬢が、地面に突っ伏して痙攣しているので理由を尋ねたら。
蜘蛛妖怪に熱病に感染させてくれと頼み込んでいたらしい。
死神も暑さに耐えかねたのかと効いたら、
単に熱病にかこつけて仕事をさぼるつもりだったようだ。


いつものことだ。別に重要なことではない。